皇女殿下の幸せフェードアウト計画
「お姉様」


医師が去ったを確認して、私の背をずっと摩ってくれていたお姉様の方を見た。

私の言いたいことはわかるのだろう、お姉様も頷いてくれる。ああ、なんだか本当に昔から仲が良い姉妹みたいなやり取りだ。

こんなやりとりを、したかった。

そう思う私の気持ちが、一つまた満たされる。

「予言では、黒衣の騎士と鼓舞の戦乙女、祝福の乙女が揃ったと言われたのね」

「ええ」

「鼓舞の戦乙女はきっと私のことね」

「……そうだと思います」

ほかにないだろうと思う。だから否定はできない。

だってお姉様のギフトは『鼓舞』だもの。

そして同様に、『祝福』をもつ私が祝福の乙女で間違いない。

「黒衣の騎士は、まあ、予想はつくけれど」

お姉様は苦笑してから私の頭を撫でた。

きっと色々考えているのだろうと思う。

「何かが暴かれて、皆が真実を知るのよね」

「……?」

お姉様がそう言った。

確かに、予言では『すべての偽りを人々が自覚する』だっけ? そんなことを言っていた気がする。
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