皇女殿下の幸せフェードアウト計画
「どうか、無理はしないでください。私にとっても、お姉様は……たった一人の、私のお姉様なんです」

「ええ」

「家族の誰も私を見てくれなかったけど、それは私が強くも賢くもなかったからで、だからしょうがないんだけどでも寂しかった。でも皇女らしくしなきゃって思うからお父様のことも陛下とお呼びして、私なりに頑張ってたつもりで」

「……うん」

「でもお姉様は、そんな私を妹だって、可愛いって、大切だって言ってくれた。お母様も愛する人を見つけて行ってしまった! お父様もお姉様がいたら私なんて要らないの……!」

「イリス」

「お姉様になにかあったら、私は本当に一人ぼっちになってしまう」

ああ、なんてズルくて、ワガママなんだろう。

ギフトがあればよかった? スキルがあれば活躍できる? そんなわけない。

だから私は逃げ出したかった。

誰も私を大事にしてくれないなら、私が自分を大事にするから。そしたら誰のことも妬まなくて済むし、彼らを応援するいい人でいられるから。

前世でもそうだった。

私を大事にしてくれる人なんていなかった。

家族運に恵まれないななんて笑えた十歳の頃が懐かしい。乾いた笑いだったけど。

でも、私は……そうね、私自身、家族に対してとっとと見切りをつけたんだから、きっと私が悪いんだ。
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