皇女殿下の幸せフェードアウト計画
「お願い、お姉様」

震える手が、滑稽だ。

泣きながら、私はなんて自分が身勝手なんだろうと思ってしまった。

だって、そうでしょう?

愛してほしい、愛してくれないなら要らないと諦めたのは私なのに、私のことを見てくれる人がいたらこんなにも依存してしまうだなんて。

泣いて縋って、……今更だ。ああ、今更だ。

物語の中でリリスは、皇女として凛と立ちこの国を出て戦い、人々から尊敬される。

(私を、置いて)

何が祝福の乙女なもんですか。私は私が、こんなにも可愛い。他の人を救う役割を持っているお姉様に、自分を忘れないでくれるなと縋ってしまう醜い、器の小さな人間だ。

「大丈夫よイリス」

がっかりさせたろうか。

鬱陶しいと思っただろうか。

その『大丈夫』は、とりあえず宥めておけばいいやというものだろうか。

知らず知らず、俯いた。涙が、ベッドに染みを作った。
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