皇女殿下の幸せフェードアウト計画
「確かに姫は、月の方が似合うかもしれん」

「ええ、この黒髪も夜の色だものね。お姉様の髪も金褐色だからおひさまとは言いにくいけど、日に透けるとキラキラとして」

フォルセティの言葉に落ち込みそうになるのを、私は笑って髪を摘まんで見せた。

卑屈になって落ち込んでしまいそうなのを誤魔化すために、お姉様の素敵なところを言ってみたものの思ったよりも早口になって恥ずかしい。

「月は、闇夜を照らしてくれる」

「……フォルセティ?」

「道を見失い、何も見えない世界を救ってくれる。俺にとって、姫はまさしく闇夜を静かに照らす、月なのだろう」

「それって、どういう――」

「姫!」

フォルセティの言葉の意味が知りたくて私が彼を見上げた所で、声が響いた。

そちらを見れば、将軍の姿があった。

将軍の向こう側には、陛下とリリスお姉様の姿も。

「イリス姫、また後程」

「え、ええ……」

離された手が、寂しい。

私は思わず彼の手をもう一度掴んでしまいそうだったけれど、またあとで会えるのだと慌てて引っ込めた。
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