皇女殿下の幸せフェードアウト計画
「そしてリリスは神によって恩恵を与えられた娘でもある」

陛下のその言葉に、集まった人々がざわついた。

お姉様に向けられていた人々の目が、一気に別の熱を灯したような気がする。

興味、好意、羨望、値踏み、そういった眼差しが向けられてもお姉様は堂々としていた。かっこいい!

「そしてもう一つ皆に聞いてもらいたい。我が娘イリスもまた、恩恵を賜った。この娘のこれまでの行いを、神は見ておられたのだ」

お姉様に向けられていた目が、私に向く。

それは驚きの方が多かったように思う。この場にいる彼らはきっと、心底驚いたことだろう。

「それらに関しては、司祭立ち合いの上だ。ワレリアも承知しているゆえ、各国の方々にはどうか娘たちに祝福をいただければと思う。今日の佳き日を、皆で祝ってもらいたい」

陛下のその言葉を皮切りに、音楽隊が楽曲を奏で始める。

散り散りになって話をする人々の視線が、ちらちらとこちらを向いている。だけど、その場で立ってこちらに挑むようなまなざしを向ける人もいた。

(あれ……?)

それは初老の男性で、どこかで見た覚えがある。

エファージェン公国の、伝統の衣装を着たその人を私は特使だと思っていたけれど違うようだ。彼の傍らには初老の夫人もいて、とても困っているように見えた。
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