皇女殿下の幸せフェードアウト計画
手をそっと伸ばした瞬間、ぐらりと地面が揺れた。

あっと叫ぶ間もなく、私たちは誰もが膝をつき、私はフォルセティに支えられる。

「えっ、何、地震――?」

「違う」

悲鳴に混じる私の疑問を、フォルセティが短く否定する。

彼の視線が一点を見つめていることに気が付いて、私も視線を上にあげる。

そこには、奇妙にぽっかり空いた穴と浮かんだぼろきれの塊のようなもの。

辛うじてローブだとわかるそれは人の形をしていたけれど、その下の人物を完全に覆い隠していて何一つ見えやしない。

まるでクラゲが海を漂っているかのように、宙に浮いている。

「なに……これ……」

非現実的な光景だった。

誰一人として動けないわけじゃない。

騎士たちがこの異様な光景に一瞬怯んでも、将軍が声をかければ即座に動いてくれた。

けれどそこには届かない。

ふわりふわりと浮いているそれが揺らめいて、室内なのに雷が落ちて床を焦がした。

雷が直撃した兵士が悲鳴を上げて転げた後、ピクリとも動かない。
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