皇女殿下の幸せフェードアウト計画
『お ろか な り』

たどたどしく、どろりとした声が聞こえた。

どうやらそれは――笑っているのだと、気づく。

『ああ、ああ、見つ け た』

見つけた、見つけたと壊れたおもちゃのようにその言葉を繰り返すフードの塊はこちらを向いた。顔部分にあたるそこは目深に被っているせいで何も見えない。

聞こえる声も、くぐもっているし響いているしで男なのか女なのか、若いのか年老いているのか、何一つわからなかった。

わからないものを、人は恐怖する。

この場にいる私たちは、騎士が敵わなかった事実と併せて誰もが震えていた。

『見つけたぞ! フォルセティ・イグノア!!』

歓喜の声が、私たちの耳を震わせる。

彼の名前を呼んだローブが風もないのにぶわりと膨れ上がるのはまるでやつの感情を示しているようだ。

私は思わず私を支えるフォルセティの手にしがみついた。

『栄光あるワゼリアの子、ワゼリアの希望! 悪竜と共に封じた後にすべての罪を我らに押し付け、栄華だけを手にした者たちに今こそ鉄槌を下すのだ!』

「何を言っているかわからんが、おれは貴様など知らん」
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