皇女殿下の幸せフェードアウト計画
『記憶をなくして尚、我に逆らうか?』

心底不思議そうにことりと首を傾げた布の塊は、私に視線を定めたようだ。

いや、目なんて見えやしないからそうだとは言えないんだけど、気持ち悪いミイラみたいな手がローブの下から出てきて私を指さしたのだから間違いない。

『その腕に抱く女がほしいならばそれも連れてくればいい。さあ、我の元に戻るのだ、ワゼリアの悲しみを晴らすのだ!!』

(それって私を者扱いしないでもらえる!?)

心の中で憤慨したところで、がたがた震えた私には声にできない。言葉に出来た所で何一つカッコつかないんだろうなと思う。

それよりも、この状況だ。

そいつの悦に入った声に、誰一人動けないのだ。

まるで奇妙な何かに押さえつけられているような気分だった。
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