皇女殿下の幸せフェードアウト計画
(……ワゼリアは滅んだ)

各国に伝わる話としては、神の力を行使する『恩恵』に対して、それを真似て魔力を練り上げ使う『魔法』。

後者はあまりに神を真似る不敬として罰せられ、神は竜を使わしワゼリアを滅ぼした。そしてワゼリアを滅ぼした竜はその地で眠りについたのだという。

(だけど、違う)

ワゼリアは、竜を封印するのにちょうどいいと各国揃って切り捨てたのだ。

そして神に責任を押し付けて、皆で忘れ去ってしまった。

あのローブは、魔法使いだ。当時のワゼリア王家の人間……の亡霊のようなもので、そしてフォルセティは落ち延びた先で細々暮らすワゼリアの子孫なのだ。

落ち延びた先で生きる人々は、恨みとかそんなのはとっくの昔に忘れて……魔法の力については代々少しだけ習うけれど使えるはずもなくて。

内包する魔力が多い特徴を持っていた国民性も、代を追うごとに減少。

その中で亡霊の魔法使いが望むほどの魔力を持って生まれてきたフォルセティは格好の的だった。

(だけど、フォルセティは)

復讐の誘いを、断った。

厳しく苦しい、雪山での生活を強いられてもそれを恨みになんて思わず、恨みは断ち切るべきだと言い切った。
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