皇女殿下の幸せフェードアウト計画
「兄がいたら、この重責を変わってもらえたかもしれない。姉がいたら私を可愛がってくれたかもしれない。一人でいることなんて、なかったかもしれない」

「……」

「かもしれない、だなんて曖昧なものだわ。私はこの皇国の皇女。忘れなさい、貴女の不躾な問いは私の弱音を聞いてくれたことに免じ、忘れてあげましょう」

「……かしこまり、ました」

「下がりなさい」

「は、はい」

ぺこりとお辞儀をした侍女は、とても姿勢が良かった。

風に揺れるアマリリスに、ふと私は彼女を呼び止める。

「ねえ貴女」

「え」

「この花が似合う女におなりなさい。折角背も大きくて綺麗な立ち姿をしているのだから勿体ないわ。羨ましいくらい」

「……姫様……?」

「もういいわ、さっさと行きなさい」

気まぐれ。それだけ。
< 38 / 370 >

この作品をシェア

pagetop