皇女殿下の幸せフェードアウト計画
そんな中、お母様は意を決したように私の方を見て頭を下げた。

「お母様!?」

「お前には本当にすまないことをしたと思っています。けれど、わらわはエイモン殿と恋をしてしまった……お前の顔を見れば愛しいと思うけれど、罪悪感が沸いた。だから必要最低限しか接することができず、冷たい母と思ったでしょう」

「……お母様」

愛しい。そうはっきりと言われてぶわりと心の奥から熱が上がってくる。

私に対して罪悪感を抱いたがゆえに、愛するがゆえに。

(けれど……でもそれは、恋を優先したのね)

皇后という立場にありながらそれは許されないことなのだろうと思うし、一人の女性として愛されたいと願った結果だとしても母親として、一人の人間としては倫理観的にアウトだ。

だから私は安易にお母様を許すことはできなかった。

でも愛してくれていたという、それだけで満たされるのは……あまりにも、冷静な自分が思うのも当然なくらい、単純だ。

(愛されたいと願ってはいけない? いいえ、それは正しい。でもルールは守らなければ)
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