皇女殿下の幸せフェードアウト計画
(ええい、ままよ!)

私は出来上がったショールを持って立ち上がる。

部屋の隅に控えていたウルスラが、何も言わずについて来てくれるのを少しだけ申し訳なくすら思った。

だって彼女は私付きだからということで……多分周りからは同情されているとは思うけど、そんな風な扱いをされてウルスラだって嬉しくはないはず。

凋落していく皇女付き、出世街道が侍女にあるかわからないけれど、それを断たれたようなものだもの……勿論、私がこの城を出る時にはウルスラのことを皇帝陛下によく頼むつもりだとはいえ、今この状況は針の(むしろ)に違いない!

「ウルスラ、疲れているようならお前は休んでいても良いのよ」

「いえ、そのようなことはありません」

「そ、そう?」

「それよりもイリス様は、どちらに行かれるのですか?」

「……リリス、様のところよ。お花のお礼と理由を伺いに行くつもり」

問われてリリスのことを何と呼ぶか、少しだけ躊躇ってしまった。

皇帝陛下が実の娘であると公言なさっておられることからリリスのことをイリスが『お姉様』と呼ぶこと自体はおかしなことではないけれど、周囲はどう思うだろうか。

少なくともリリス本人が私にどう呼ばれたいのかっていうのもあるし、難しい問題だと思うんだ。

だからって呼び捨てなんて以ての外だし……単純な様呼びでは他人行儀だとは思うけれど、これが妥当な気がする。
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