皇女殿下の幸せフェードアウト計画
「ウルスラ、戻りましょう」

「……イリス様」

「陛下とリリス様のお邪魔をしてはいけません。お二人は、父娘の時間を取り戻しておられる最中なのですから」

私も、娘だけど。

でも、私に求められているのは、違うから。

大丈夫、私はわかっている。分を弁えて、ここから――物語から、去って行く。そう決めていても実際にそれを目の前にすれば、こんなにも心が寂しいものだとは思わなかった。

「せめて、そちらをお渡しになられては」

「……いいえ、いいの」

「イリス!」

背を向けた私に、皇帝陛下の厳しい声がかかる。

思わず足を止めたけれど、振り向くことはできなかった。その声はあまりにも、冷たくて怖くて振り向けないだなんて、子供みたいで悔しい。

深呼吸をして、せめて泣かないようにくっと唇を噛みしめて前を向く。
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