秘密の懐妊~極上御曹司の赤ちゃんを授かりました~
「俺がいない間に何があった」
いろいろなことがあった。翔悟さんの子供を妊娠して、それを会長に知られた。自分が思っていた以上に、翔悟さんと亜裕子さんの関係が良好だということもわかった。
私が消えても、翔悟さんの人生が元に戻るだけ。彼が社長の椅子に座った時、私を選ばなくて正解だったと思う時が来るかもしれない。
「これ以上、翔悟さんとお付き合いできません」
「穂乃果、何を言って……そうか。会長に何か言われたんだな。今どこにいる」
「もう会えません。ごめんなさい。さようなら」
私の名前を繰り返し呼ぶ翔悟さんの声を遮断するように、通話を切った。ホームに入るとすぐに電車が到着し、それに乗り込む。ドアの前に立って流れる景色をぼんやり見つめながらも、気持ちはバッグの中から伝わり続けるスマホの振動に向いている。
しかし、着信が続いたのは二回だけだった。私が出ないから諦めたのだと想像がついても、たった二回だけなのはやっぱり切ない。
ため息を吐きながら電車を降りて、少しふらふらしながらも早く帰りたくて家路を急いだ。
「お帰りなさいませ」
自宅アパートの前で待っていた女性秘書に声をかけられ、あぁそうだったと思い出す。
「遅くなりました」