秘密の懐妊~極上御曹司の赤ちゃんを授かりました~

僅かに頭を下げながら、そのままアパートの階段を登ろうとしたが、女性秘書が慌てて私の前へと進み出てきた。


「お帰りになったばかりのところ申し訳ないのですが、あまり時間に余裕がありません。このまま車に乗っていただけますか?」


焦っている理由は翔悟さんで間違いない。私が会社にいないのが分かったのだから、もしかしたら探し回っているかもしれない。

そう考えるも、亜裕子さんの「会いに行く」という言葉を思い出し、自分の考えを否定した。翔悟さんは諦めて、すぐに亜裕子さんの元に行ってしまったかもしれない。そう思うと、全てがどうでも良くなっていく。


「分かりました」


頷いて、女性秘書と共に歩き出す。アパート近くで待機していた車の後部座席のドアを、女性秘書が機敏に開け、乗ってくださいと眼差しで要求する。

乗り込む直前で軽い目眩に襲われ動きを止めた時、すぐそばで、車のブレーキが甲高く響き、続け様にドアの手荒な開閉音も耳に届く。


「穂乃果!」


愛しい声音に、鼓動が跳ねた。信じられない気持ちで顔を向けると、すぐに翔悟さんの瞳に捕らえられた。彼が真っ直ぐにこちらに向かってやってくる。

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