秘密の懐妊~極上御曹司の赤ちゃんを授かりました~

そして再び繋がった視線。にこりとも笑っていないのに眼差しは柔らかく感じられ、ポーカーフェイスで自分にも他人にも厳しい冷徹な人として言われている彼の穏やかな一面を見た気がしたのだ。

夢のような時間が終わり日常に戻ればまた、彼は手が届かない遠い存在としてキラキラ輝いていた。

私もこんな偶然はもうないだろうと思ったし、素敵な思い出として胸の中に秘めておくつもりだったのだけれど……、二度目の偶然は一ヶ月も経たずにやってきた。

仕事帰りに猫カフェに立ち寄り、いつものように癒されていた私の前に、翔悟さんが姿を現したのだ。緊張で癒しどころでなくなってしまったのは言うまでもない。

三回目、四回目と、偶然は重なっていく。けれど、一度目のような接触が私たちにあった訳ではない。その場に居合わせた客という状態で、言葉をかけることも目が合うことすらなかったのだ。

そんな時、迎えた五回目。あの日は休日だった。

普段はあまり休みの日には来ないのだけれど、どうしてもバニラを撫でたくなりお店を訪ねると、なんと翔悟さんもきていたのだ。

思わず「あっ」と声を発したことで、目が合ってしまった。

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