秘密の懐妊~極上御曹司の赤ちゃんを授かりました~
頭の中が真っ白になる。本気で言ってるのかとか私で良いのかとか戸惑いはたくさんあったけれど、彼に恋心を抱き続けてきた私に断る理由などなかった。
「はい。喜んで」と返事をした瞬間、彼が目を閉じ、ホッとしたように口角をゆるく持ち上げた。
「ありがとう」という心からの言葉に微笑み返すと、彼にそっと引き寄せられ、優しく包み込むように抱きしめられたのだった。
そんな経緯で私は翔悟さんとお付き合いを始めた。
夢のような時間の始まりでもあった訳だけど、なにせ相手は自分が働く会社の副社長だ。付き合いがバレたら大変なことになるのは目に見えている。
彼は人気が高いため、私の身近にも恋心を抱いている女性が何人もいた。私たちの関係を知られたら居心地が悪くなるのも明らかだ。
それに、ヒルマ物産は社内恋愛を禁止している訳ではないけれど、翔悟さん相手だとそれは通用しないのではないかと思う節もある。
翔悟さんの祖母にあたる、ヒルマ物産会長の存在である。
噂で耳にしただけだけれど、会長は将来会社を背負っていく翔悟さんの妻となる女性は自分のお眼鏡にかなった人物でないと許さないと口癖のように周りに言っているらしい。