秘密の懐妊~極上御曹司の赤ちゃんを授かりました~
だから私は翔悟さんへ提案した。「周りには内緒で付き合いませんか?」と。
最初は難しそうな顔をされたが、自分の考えを言葉にしたことで彼が折れ、私の提案を受け入れてくれたのだ。
「今日の昼、一階ですれ違ったな」
突然ぽつりと話しかけられハッとする。バニラを撫でる手を止め、翔悟さんへと顔を向ける。
「もしかしたら目が合ったかもって思ってたんです。やっぱり気付いていたんですね」
「もちろん」
当然だと言わんばかりに返され、くすぐったい気持ちになる。
けれどそれと同時に寂しさも覚えた。関係を秘密にしておきたいと言い出したのは自分だというのに、彼からわずかな反応すらもらえないことが切ないと思っているからだ。
我がままだなと自分を省みていると、また彼がぽつりと呟いた。
「そばにいた女性社員が合コンと叫んでいたように聞こえたのだが。俺の聞き間違いか?」
不機嫌な声で問われ、目を丸くする。三秒見つめ合った後、たどたどしく答えた。
「あ、いえ。合コンに参加して欲しいって頼み込まれていたところでした」
「合コン。……まさか了承などしていないよな?」
「もちろんです 彼女のは今夜の話で、私は今ここにいます」