秘密の懐妊~極上御曹司の赤ちゃんを授かりました~
出来るなら彼と一緒に暮らしてみたい。正直に言うと、そんな甘い期待が心の中になかったわけではない。けれど、いざその現実が目前まで迫ってきても戸惑うばかりで、自分から一歩を踏み出すのは難しい。
社内ではとても遠いところにいる彼に不安を覚える方が多いのに、こうして横にいる時はそれまでの感情の波が嘘のように穏やかな気持ちになる。
一緒に暮らせたら、もっと多くの時間を幸せな気持ちで過ごせるかもしれない。
そんな考えに至った時、静かに車が停まった。いつの間にかアパートの前に到着してしまっていた。
すると今度は「ふう」と翔悟さんが気だるく息をつき、むすっとしたような顔で私を見た。
「でも、俺との同居はリスクが伴うな。穂乃果は覚悟が必要になる」
リスクと言われても、具体的な事柄をとっさに思い浮かべられず、私は彼を見つめ返したまま首を傾げる。私の疑問を受け、再び彼が口を開く。
「掃除は自分でしているからいいと何度言っても、時々母さんが勝手に掃除をしに来る。一緒に暮らせば、鉢合わせしなくてもきっと穂乃果の影を見つけるだろう。そうなると遅かれ早かれ会長にも話がいく」
「……あぁそっか。確かに覚悟が入りますね」