秘密の懐妊~極上御曹司の赤ちゃんを授かりました~

やっと理解し、同時に浮かれていた気持ちがすっと冷めていく。

会長にバレたら、異動になって同居どころではなくなるかもしれない。会社を辞めさせられる場合だってあるし、もしくは別れなくてはならない事態に陥るのだって考えられる。

全部捨ててでも、翔悟さんについていく。それくらいの覚悟が必要なのかもしれない。

私はそれでも構わないけど、翔悟さんはどう考える?

会長に逆らってでもこの先一緒にいたいと、私を選んでくれるだろうか。

自分の考えにヒルマ物産で見かける彼の凛とした姿がちらつき、胸が苦しくなる。

相手は大企業の副社長。そうしてもらえるほどの価値なんて、……きっと私にはない。


「穂乃果」


呼びかけられ、彼に見つめられていたことに気づかされる。


「急かしはしない。しかし、いつか俺たちが向き合わないといけない壁だということは心の片隅に留めといてくれ」


真っ直ぐに向けられる眼差しに耐えられなくなって顔を俯けると、彼の手がすくいあげるように私の顎に触れた。再び視線が繋がり合う。


「俺をずっと好きでいてくれるならば」


少しだけ声が揺れていた。真剣さの中に混ざった不安が、そうさせたのだろうか。

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