秘密の懐妊~極上御曹司の赤ちゃんを授かりました~
向かうのは馴染みの洋食屋。この時間空いていることはまずないから、待ち時間が少しでも短く済むことを願ってやまない。
「ねぇ、知ってる? この前、営業の子達が小林専務にお昼おごってもらったんだって。羨ましい!」
小林専務の姿を曖昧にしか覚えていない程度だからか、羨ましいという感情は正直湧いてこない。つい、「へぇ。そうなんだ」と素っ気なくなってしまい、それを不満に感じたらしい沙季が私をじろりと見た。
「なんで羨ましくないの? 本当は彼氏いるんでしょ。いるんだったら隠さず教えてよ」
本当のことは言えない。だからと言って嘘をつくのも心苦しい。笑って誤魔化した時、詰め寄ってきていた沙季の視線が私を通り越した。
「専務じゃなくて、副社長に誘ってもらえたらみんなに自慢できるのに。きっと豪華なもの食べさせてくれるんだろうなぁ」
彼女の視線を辿りすぐに、入り口からセキュリティの方へと、秘書をひきつれ真っ直ぐ進む翔悟さんの姿を見つける。
彼にそのつもりはなくても、見るものを圧倒させるオーラを纏っているせいか、社員たちが次々と道をあけていく。