秘密の懐妊~極上御曹司の赤ちゃんを授かりました~
眩さをまとう彼らとだた見ているだけのこちら側の間には明確な線が引かれているように思えてしまい、翔悟さんをより遠くに感じ出す。
ちょうど私の目の前を通り過ぎようとした瞬間、先を歩く翔悟さんの視線がこちらに向いた。
完全に目が合い思わず息をのんだ。焦りで狼狽えた私とは違ってやっぱり彼は冷静で、表情を変えず、まるで私など見えていないかのように自然に視線をそらす。
足取りの乱れもなく、翔悟さんは私から遠ざかっていった。
翔悟さんと見知らぬ女性が通り過ぎ、止まっていた時間が再び動き出すかのように、この場に居合わせ足を止めていた社員たちも歩き始める。
「きゃー。どうしよう。今、副社長こっち見たよね。目があっちゃったかも!」
沙季も同様で、突然嬉しそうにはしゃぎ出す。
うまく一緒に喜ぶことができず、「そうだね」と苦笑いで返した。
秘密の関係なのだから、私もこういう時は割り切らなくちゃいけないと分かっている。
それなのに、立場の違いを痛烈に感じたばかりだからか、悲しくなるのをどうしても止められなかった。
「翔悟さんは私の恋人です!」とみんなに大声で言いたいと、心の底から強く思いながら会社を出た。