秘密の懐妊~極上御曹司の赤ちゃんを授かりました~
話しながら、彼の腕へとそっと手を絡め、ほんの数秒見つめ合う。翔悟さんの目元がわずかに柔らかくなり、笑顔の私は湖に向かう足取りが軽くなる。
「家族旅行は一度しか経験したことがないが、実はそれがここなんだ。あの時も、父が突然いくぞって言い出して、有無をいわさず準備をさせられた……って、俺も穂乃果に同じことをしてしまったな」
「同じじゃないです。私は誘われた瞬間から乗り気でしたよ」
しまったといった言葉にすかさず否定を入れ、私はまた笑みをこぼす。
「だから今回ここに?」
「かもしれない。とても楽しかった記憶が残ってるから、きっと無意識に穂乃果と一緒にとかんがえたんだろう」
多忙な父親と一緒の家族旅行。たった一度だけだからこそ心も弾み、記憶に強く残っているのだろう。そう考えると、私の胸も感激で熱くなる。
「そんな大切な場所に連れてきてくれたんですね。とっても嬉しいです」
心の底からの感謝の気持ちを伝えると、彼が私の手を解いた腕で、ぐっと肩を抱き寄せてきた。私も彼の腰へと手を回し、甘えるように体をもたれかける。
「どんな思い出があるんですか?」
「さっきみたいにできたての饅頭をたべたり、湖のほとりを散策したり、それから遊覧船に乗ったりもしたな」
「遊覧船があるんですね」
「昔はな。今は……まだあるみたいだな」