秘密の懐妊~極上御曹司の赤ちゃんを授かりました~
「これからどうします?」
女将さんが去ってすぐ、私は食い気味に翔悟さんへと問いかける。すると、彼が私の隣の座椅子に腰を下ろした。
「夕食までまだ少し時間があるからな」
翔悟さんがまずはといった様子で、座卓に置かれていたお着き菓子を私の前へと移動した。桜餅で餡を包み、苺が乗った見た目の可愛らしさに、思わずスマホに手が伸びる。
続けて室内へとシャッターを切り、ついでに私を見つめていた翔悟さんにもスマホを向けて、苦笑いされる。
今日はずっとこんな感じだ。食べたもの、過ごした空間、呆れたような彼の表情でさえ、すべてを大切な思い出にしたい。
「それ食べたら風呂にでも入るか」
「やっぱり温泉だよね! せっかく来たんだもん入らなくちゃ! 翔悟さんは普段忙しいんだから、のんびり浸かって疲れをとらないと」
私にとっても温泉に入るのは楽しみの一つだったため、彼の提案にすぐに飛びつく。
「旅館も立派だからお風呂も大きいんだろうな。のぼせないようにしなくちゃ。……お茶かなんかあるかな」
早速お菓子をいただくべく、飲み物を準備しようと座椅子から立ち上がった瞬間、横から手を掴み取られた。