秘密の懐妊~極上御曹司の赤ちゃんを授かりました~
料理の説明を終えたあと女将さんが部屋を出て、ふたりっきりになってから、私たちはお酒の入ったグラスを手にし乾杯する。
蟹刺しを頬張りながら、他愛無い話に花を咲かせた。
普段とは違う場所や状況で、こうやって特別な時間を過ごしながらも、私の話に耳を傾けて薄く微笑む彼の表情はいつもと同じだ。
彼を見つめているだけで、心が穏やかになり温かさに包まれる。
食事を終え、仲居さんたちが膳を下げてくれている間、私たちは窓際に並び立ち、そこから夜景を眺めた。
旅館が高台に建っているため、昼間歩いただろう温泉街が眼下に広がっているのだ。
「いろんな場所に行けて、たくさん食べられて、すごく楽しかったな」
「そうだな。俺も楽しかった」
そう優しい声で返してきた翔悟さんの瞳が、キラキラと輝きを宿している。
とても綺麗な彼の横顔に見惚れていると、不意に視線がこちらに向けられた。どきりと胸を高鳴らせ慌てて視線を前へ戻したけれど、彼が小さく笑ったのをしっかりと耳拾い、気恥ずかしさが募る。
「……ね、ねぇ。あれもしかしたら昼間乗った遊覧船じゃない?」
場を繋ぐべく、遠くの湖に見えるなんとなく似通った形状のそれを指差して、少しはしゃいで見せた。