秘密の懐妊~極上御曹司の赤ちゃんを授かりました~


「母さん、何?」


ちくりと刺すような機嫌の悪い第一声で、電話の相手が誰なのかを知る。

夢から現実へと引き戻され、徐々に視線が落ちていった。先ほど紡がれた彼の言葉が、私の胸に切なく蘇る。

一分くらい話をしていただろうか。通話を切ったスマホを元の場所に戻した翔悟さんと目が合い、自分が無意識に彼を見つめていたのを気づかされる。


「母からの電話だ」

「……なんて?」

「今から実家に来いと呼び出しをくらった」


思わず室内の時計に目を向ける。昼間ならまだしも、すでに夜の七時になろうとしているこの時刻にわざわざ呼び出すなんて、どんな話があるのだろうか。

私が不安になったのを顔を見て分かったのだろう。翔悟さんが目の前までやってきて、私の頭に優しく手を乗せた。


「ちゃんと断った。穂乃果を置いて行くわけないだろ?」


そんなことはしないとわかっている。ただ、彼の表情に現れた気怠さに、なにか理由があるのではと勘繰ってしまう。

数秒見つめ合った後、翔悟さんが苦笑いをして続ける。


「最近祖母が母を通して、何かにつけて俺の普段の生活に口を挟んできて、息が詰まる」


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