秘密の懐妊~極上御曹司の赤ちゃんを授かりました~
店員がにこやかな笑みを残して部屋を出て行く。私は気恥ずかしくて落ち着かないというのに、やっぱり翔悟さんの顔色は何ひとつ変わらない。
さすがだと心の中で感嘆のため息をついた時、彼が自分のバッグからカードキーを取り出した。テーブルの上に置くと、それをずずっと私の方へ指で押し出す。
なんだろう。疑問を込めた眼差しを向けると、すぐに翔悟さんと視線が繋がる。その瞬間、薄っすらと彼の頬に朱が差し込み、私は思わず息を飲む。
「俺の家の合鍵だ。受け取ってもらえないだろうか」
恐る恐る発せられた声とあまり見たことのない照れた表情が、私の時間をわずかに停止させた。可愛らしい翔悟さんに頬を熱くして、私は先ほどと同じようにカードキーごと彼の手を両手で包み込んだ。
「私に持たせたら、勝手に家にお邪魔しちゃいますよ?」
「あぁ。構わない。むしろそうしてもらいたいから渡すんだ」
そう言った翔悟さんの口元にほんの少しの笑みが灯る。扉の向こうを誰かが話しながら通り過ぎていく気配に反応し、翔悟さんがそっと手を引き、手の中に残されたカードキーの存在が心の中で温かいものをじわり広げた。