秘密の懐妊~極上御曹司の赤ちゃんを授かりました~
「……しょ、翔悟さん?」
「すまない。少し声が暗いように聞こえたんだが、何かあったのか?」
「きっ、気のせいです。いつも通りですよ」
咄嗟に誤魔化すと、「それなら良いが」と電話の向こうで彼が呟く。安堵のため息を吐きそうになるのを必死に堪えた。
「今、お仕事終わったばかりですか?」
「あぁ。今車に乗り込んだところだ。穂乃果は何をしていた?」
「私はお風呂から上がって、……ぼんやりしていたところです」
苦笑い気味の返答で、「そうか」と笑みを含んだ低い声が鼓膜を揺らし、くすぐったくて目を細めた。
「今日は早く休んでくれ。昨晩は遅くまで起きていたのに、今朝は早起きだったから」
「もしかして、起こしてしまいましたか? すみません」
「穂乃果がベッドを出て行ってしまった時は少し寂しかったが、キッチンから気配を感じたら幸せな気持ちになれた」
「……翔悟さん」
嬉しくて、温かな涙が込み上げてくる。グスッと鼻を鳴らすと、「穂乃果⁉︎」と焦り声で呼びかけられ、さらに胸が熱くなる。
「泣いているのか?」
「ごめんなさい。私も、翔悟さんとの時間が幸せすぎて、一人の今がとっても寂しいです。こんなことなら翔悟さんの家に帰ればよかった」