秘密の懐妊~極上御曹司の赤ちゃんを授かりました~

亜裕子さんってどんな女性だろう。会長が推している人だから、ヒルマ物産に見合うくらいの巨大会社の社長令嬢なのは間違いない。そんな彼女なら、高価な食材で豪華なお弁当を持ってくるはず。

翔悟さんと付き合う中で、これまでも立場の違いに悩んだり虚しくなったりしたことはあった。彼と一緒にいる限りいつまでも付き纏う問題だと覚悟はしていたつもりだったけれど、今回はこれまでとは比にならないほど心が悲鳴をあげている。

テーブル上に放置していたスマホを手に取り、カーペットの上にぺたりと座り込んで、お昼に届いた翔悟さんからのメッセージを読み返す。

美味しかったのひと言が本心からのものなのか不安になった。私に気を使ってそう言ってくれただけで、実際はほとんど食べていなかったとしたら。お弁当だけでなく朝食も、会長のように質素だと思われていたかもしれないと、勝手に想像してはまた気持ちが沈む。

ぼんやりした視線の先で、突然スマホが音を奏でてドキリと鼓動が高鳴った。翔悟さんからの着信に思わず狼狽えつつ、深呼吸してから電話を受けた。


「翔悟さん、お疲れ様です」


出来るだけ平常心で声を発するもすぐに相手から反応が来ず、焦りが生まれる。

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