秘密の懐妊~極上御曹司の赤ちゃんを授かりました~
不安に煽られて表情を曇らせた私を、翔悟さんが目を大きくさせて見つめ返してくる。驚きの眼差しが、即座に真剣なものへと変化した
「そんなことはない!」
声を荒げた翔悟さんに今度は私が驚く番となる。感情の起伏が少ない彼の怒った姿を見るのは初めてだったけれど、伝わってきたのが怒りというよりは困惑だったから、全く怖くはなかった。
「変なことを言ってごめんなさい」
信号が青に変わり、翔悟さんが視線を前方へと戻しアクセルを踏んだ。
思わず口にしてしまったのは、私の中で会長とのやり取りが尾を引いているから。けれどそれを打ち明けたら、彼と気まずくなってしまいそうで怖くてできない。
私の謝罪の言葉からやや間を置いたのち、ゆっくりと車が路肩に停止した。
「いや。俺こそ、大きな声を出してすまなかった」
彼からの反省の言葉に、私は大きく首を横に振る。翔悟さんは何も悪くない。彼の表情が寂しそうで、胸がきゅっと締め付けられた。
「言葉が足りない自覚はあるが、信じてほしい。俺にとってはご馳走だったよ。味だけじゃなく、ひとりきりの食事なのにまるで穂乃果と一緒に食べているような、腹も心も満たされた」