秘密の懐妊~極上御曹司の赤ちゃんを授かりました~
彼が総務部に姿を現すのは滅多にないため、周りの女性社員たちが一斉に色めき立っている。彼に対してどうしたのかと疑問を覚える一方、話しかけたくてうずうずしている彼女たちの様子を視界に捉えて面白くない気持ちになる。
翔悟さんは誰かを探す様に室内を見回し、私と目が合った瞬間、こちらに向かって歩き出す。
まさかそんなと思いつつ、彼が私から視線を外さずにいることから、浮かんだ思いが確信へと変わっていく。翔悟さんが探していたのは私。彼は私に会いに来たんだと。
混乱しつつ立ち上がると、目の前で翔悟さんが足を止めた。
「突然すまない」
ただそれだけ言って、翔悟さんが私の手を掴み取る。女性の「きゃあ」という黄色い叫びに「嘘」と悲痛の声が混ざり合う中、私は彼に手を引かれて足早にその場を後にした。
「翔悟さん」と声をかけても彼の足は止まらない。エレベーターの前までやってきて、すぐさま翔悟さんがボタンを押す。その様子から苛立っているのが分かり、どうしたのかと問いかけようとするも、口を開くよりも先にエレベーターが到着する。