秘密の懐妊~極上御曹司の赤ちゃんを授かりました~
中には数人の社員がいたけれど、翔悟さんは構わず私を連れて乗り込んだ。彼らの視線がまずは翔悟さんへと集中し、続けて傍にいる私へと向けられる。手を繋いでいるから無理もないが、視線が痛い。そんな状況で、翔悟さんに話しかけるのも気が引けて、私は身動きもせずに、黙って俯く。
一階に到着し向かった先には、もう一つのエレベーター。社長室や副社長室などがある高層階へと繋がるそれだ。自分には縁がないと思っていたため、乗り込む瞬間気後れし、思わず腰がひけてしまった。
しかし、扉さえ閉まれば、そこは二人っきりの空間。やっと私は翔悟さんの顔を覗き込む。
以前車の中で声を荒げた時も珍しいと感じたけれど、今目の前にいる彼はそれを上回る。いつもの冷静な面持ちからは想像もつかないくらい、怒りで顔が強張っている。
「翔悟さん、いったいどうしたんですか?」
静かに問いかけると、翔悟さんが繋いでいない方の手で乱雑に前髪をかきあげる。
「さっき秘書室長から話を聞いた。そしたら頭にきてしまって」
「……秘書室長ですか?」
秘書室の内情を気にしたことがなかったため、翔悟さんの言う「秘書室長」が誰か分からない。辿々しく聞き返した私の両肩を翔悟さんが掴む。