秘密の懐妊~極上御曹司の赤ちゃんを授かりました~
それは一ヶ月経っても変わらず、最近は居心地の悪さに胸が苦しくなるほどだ。
「本当に、いまだに信じられないんだけど。何をどうしたらあの副社長と付き合えるのよ」
「猫のおかげかな」
「いいなぁ。私も飼われたい」
出勤途中、駅を出たところでタイミングよく会った沙季と、笑みを交わしながら会社へと向かう。
翔悟さんとの関係が公になった時、沙季との間もギクシャクした。けれど、彼女は不満をちゃんと言葉でぶつけてくれて、私も黙っていたのをしっかり謝れたからか、すぐにこうして笑い合えるくらいに修復できた。
ビルの入り口まで来て、私は高くそびえ立つそれを見上げながら、今日も一日が無事に終わりますようにと祈りを捧げる。
会長を初め、翔悟さんの家族からは今のところ何もない。彼の思いが会長の胸に届いて納得してくれていたのならいいけれど、そうじゃなかったら……いつか大きな打撃を食らいそうで怖くなる。
背筋を震わせた後、気怠くため息をつく。この頃そればかり考えているせいか気が滅入り、倦怠感が抜けない。
社ビルに足を踏み入れると同時に、「おはようございます」と声をかけられた。秘書だろう女性が私の行く手を塞ぐように目の前でぴたりと足を止める。