秘密の懐妊~極上御曹司の赤ちゃんを授かりました~

明らかに私に用事があってやって来た彼女に警戒心を隠しきれないまま、挨拶を返した。トートバッグの持つ手に、自然と力がこもる。


「会長がお呼びです」


にこりともせずに告げられた言葉に、ほんの一瞬、目の前が真っ暗になった。彼女についてくるように促され、私は不安いっぱいに沙季と顔を見合わせる。

行きたくない。そんな私の強い思いは、逆に外へと出て行こうと歩き出した彼女が振り返ったことで打ち崩される。


「早くこちらへ」


避けられそうもないとわかり、私はゆっくりと彼女のあとに続いて歩き出した。

どこに連れて行かれるのだろうかと疑問をぶつける気にもなれず、黙々と歩き続けて五分ほど経った頃、少し古めかしい外観の喫茶店の前で秘書の女性の足が止まった。まだ開店準備中の店の扉を女性が開ける。


「どうぞ、中にお入りください」


拒否の選択肢はやっぱり私にはなく、意を決して中へと足を踏み入れた。

ブラインドが下げられていて薄暗い店内の中、甘い匂いがふわりと鼻につき、思わず私は眉をしかめた。入り口に近いテーブル席に、会長の姿があった。パンケーキを食べていた手を止めて、ナプキンで口を拭いてから、「座って」とひと言呟く。

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