秘密の懐妊~極上御曹司の赤ちゃんを授かりました~
ちょうど家に着いた時、翔悟さんから「急に出張になった。これから新幹線に乗る」というメッセージが届いた。行く前に亜裕子さんとは会って食事までするのに、私には顔すら見せずに行くのかと嫉妬で気持ちが沈んでいく。
それなら自分から電話でもなんでもすれば良いと思い直してスマホを掴み取るけれど、どうしても心にブレーキがかかる。
一言でも話をしたら、きっと彼は私の様子がおかしいことに気づく。どうしたのかと問われたら、私は全てを打ち明けてしまうだろう。けれどそんなことをして、翔悟さんが大切な仕事を放り出して引き返しでもしたら、「仕事の邪魔」をしたことになる。
これからもずっと翔悟さんのそばにいたい。別れたくない。子供だってどうしても諦められない。産みたい。でも、奪われるのは絶対に嫌だ。
どうすれば良いのだろう。どうすれば……。
食欲もないまま夜を迎え、うまく眠ることができないまま朝になる。
とりあえず起きはしたけれど、気怠くて何もやる気が起きずぼんやりとしていた時、突然ピンポンとインターフォンが鳴った。こんな朝早くから誰だろうと、思いながらのろのろとドアスコープを確認し、ぐっと呻く。昨日同行した女性秘書がそこにいたからだ。