秘密の懐妊~極上御曹司の赤ちゃんを授かりました~
「そうですか。では、退職届の提出が済みましたら、こちらで準備した部屋にしばらく身を寄せていただくこととなります」
「ど、どうしてそんなことを」
「副社長のお子様を身ごもった大切な体ですから、出産までよりよい環境で生活してもらえたらと会長はお考えのようです」
早い話、産むなら私を監視下に置くということだろう。そうなっては、出産するまで逃げられないし、確実に赤ちゃんも奪われてしまう。
「子供は産みます。でもお世話にはなりません。子供は自分で育てます」
力いっぱい拳を握りしめて、出来るだけ冷静に拒否した。すると秘書の女性が「そうですか」と再び呟き、バッグから取り出した大判の封筒を私に差し出してきた。
「ご自分でお育てになりたいのでしたら、こちらを」
受け取った封筒と彼女を交互に見てから中身を確認し、小さく息を飲む。中に入っていたのは二枚の誓約書。翔悟さんともう会わないこと、それから子供を盾にして後継者や相続問題に首を突っ込まないという約束事が書かれている。
「了承しサインをいただけましたら、蛭間はあなたにこれ以上の干渉をしないとお約束します」