平凡な私の獣騎士団もふもふライフ
ああ、もし窓から元同僚達が見ているとしたのなら、さぞ青い顔をしているに違いない。

リズはチラリと想像して、頼りない自分でごめん……と思ってしまった。よし、絶対に向かわせない。そう気を取り直して反対側へ身体を向ける。

「さっ、戻るわよカルロ!」

思いっきり頑張って引っ張った。

カルロは、全く効果無しと言わんばかりに、その様子を悠々と上から目線で見下ろしていた。しばし考える風にして――ふと抵抗をやめる。

唐突に散歩紐にゆとりが出来て、リズは芝生にべたーんっとダイブした。

降り注ぐ太陽の日差しを受けた柔らかな芝生からは、温かな春の匂いがした。いきなりのことでリズは考える時間も必要で、すぐには動けない。

場にしばし沈黙が漂う。

それでも引っ張られない散歩紐。おかげでカルロが動かず待っているのが分かったリズは、鈍いながらも「もしや」と気付いた。

ゆっくりと立ち上がってスカートを軽く直す。ああ、まさかと思いながら、ぎこちない動きで目を向けてみれば、こちらを小馬鹿にする顔で見下ろしているカルロがいた。そのまま彼が、フッと勝ち誇った表情を浮かべる。

「ふふんっ」

「…………うわー、鼻で笑われた……」

またおちょくられたらしい。教育係りが始まってからずっと、獣に駆け引きでも負けている自分って……とリズは心的にダメージを覚えた。

しばらく動けないまま考えていると、ふさふさの尻尾で、カルロが小馬鹿にするようにソフトタッチでぺしぺしと身体の横を叩いてきた。
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