平凡な私の獣騎士団もふもふライフ
何度か呼吸を繰り返していると、どうにか少し頭の中が落ち着いてくる。

不意に尻尾でソフトタッチされて、リズはカルロが顔で下を示していることに気付いた。幼獣舎の壁に向かって、昨日には見なかった削り痕がある。

「これ……何……?」

まだ頭がうまく回ってくれない。しゃがみ込んで観察してみると、そこの土はまだ柔らかかった。どうやら一部、急きょ埋め直された感じもある。

そうしたらカルロが、近くに爪を一つあててガリガリと書き始めた。

『たぶん、密猟者が来た』

その字を見てドキリとした。

リズがパッと顔を向けると、カルロが強い紫色(バイオレッド)の目で視線を返してくる。

「そんなッ、でもここは獣騎士団の敷地内で――」

『方法、ないわけじゃない。人間は匂いも消せる、山でもそうだった』

野生経験が長くあるカルロが、教えるように地面に文字を刻んでいく。

『獣騎士団が、外を警戒している間にしてやられた、のだろうと思う』

「外……?」

『密猟団体。複数のグループが、一気に流れ込んでくるの、滅多にない。それを、近く地域の協力団体が通報した。それを獣騎士団は受けた』

「あっ、ここ最近バタバタしていたのは、それで……?」

リズは、とくにジェドの方が忙しさが増し出した時期を思い出した。

それを肯定するようにしてカルロが頷く。
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