平凡な私の獣騎士団もふもふライフ
「お前、ここで白獣と遭遇したことは?」

「へ? いえ、まだありませんけど……」

そう答えたら、続いて隣からコーマックが「一度も?」と確認してきた。

「たとえば君が初めてこちらへ入館した際、遠目でも見掛けなかったんですか? もしくは別館からこちらへ移動している時、様子を見に来られた(・・・・・・・・・)りだとか」

「いいえ……、そういうのもありません」

だって課の上司達も、獣騎士達のスケジュールを分かって自分を寄越しているはずだから――そう言葉を続けようとしたリズは、ジェドに遮られた。

「あいつらは鼻だけでなく気配にも敏感だ。図体はデカいが、繊細で警戒心も強い。ましてや地元民でもない遠い地から来た人間であれば、普通であれば警戒して見に来てもおかしくはない、はずだが」

思案顔で彼は言葉を切る。

え、そんな怖いことがあるの?

リズは、目を丸くてしまう。戦闘獣の方が見に来るなんて、想像してもいなかった。ここに勤めている人のほとんどは、地元か周辺地の出身とは聞いていたけれど……。

「――考えてみれば、白獣がわざわざ採用書類をつっつくっのも珍しい」

何やら考え込んでいたジェドが、独り言のようにそう呟いた。

「珍事だのなんだの騒がれていたが、こっちはこっちで春先に生まれた幼獣と、密猟組織の件でごたごたしていたからな。とくに教育の終わった相棒持ちの白獣は賢い――そうすると、予期せぬ採用のコレも、なんらかの意味があるというわけだよな?」

これ、で指を向けられ、リズはその指先の前でビクッと目を大きくする。
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