平凡な私の獣騎士団もふもふライフ
柔らかな春の風を吹き抜けていく音。どんなに耳を澄ませても、他の物音は聞こえてこない。

「あの子達がいるのは、この近くなのよね?」

カルロの方の反応を確認してみると、同じく第三者の存在感を覚えていない様子だった。リズに伝えるように、すんっと鼻を動かして顔を顰めて見せる。

――人間は匂いを消せる。

ここへ来る前、カルロはそう言っていた。獣に感知させない方法があるとするなら、引き続き幼獣達の匂いも分からなくされている状況なのだろう。

でも、近くなのは確かだ。女王様が不思議な力で送ってくれている。

しばし考えていたリズは、すくっと顔を上げた。

「それなら歩いてみましょう」

相手の密猟グループが移動していない限り、自分達の足で向かえるどこかに幼獣達はいるはずだ。

目を合わせてみると、カルロが同意と言わんばかりに「ふんっ」と答えた。

木々は背が高くて、木の葉の向こうの青空は遠く感じた。

山は大自然の風景で、随分奥なのだろうと思われるくらいに麓側とは様子が違っている。所々に大きな石も転がっていた。

ひとまず近くに他の人間がいないか警戒しつつ、リズはカルロと共に慎重に探索を始めた。

傾斜ゆるやかで、柔らかな土色が目立っている。足元は木の根の凸凹などもあって、リズはスカートを持ち上げ出来るだけ急ぎ足を心掛けた。

「あてはないから、もう直感で行くしかないのよね……」

< 148 / 182 >

この作品をシェア

pagetop