平凡な私の獣騎士団もふもふライフ
彼はこらえきれなくなった様子で立ち止まると、肺いっぱいに空気を取り込み、初めて腹のそこから獣の凶暴性を詰め込んだ咆哮を上げた。

それは、あらゆる生き物を震え上がらせるほどに強く響きを立った。

居合わせた町人達が、「ひぇ!?」と反射的に竦み上がるほどだった。獣は『気付け』、『オレを見ろ』、と言わんばかりに野獣の叫びで空気を震わせる。

一頭の恐ろしい、それでいて咆哮する姿が実に美しい獣だ。

それはどの白獣よりも大きい――最近、『カルロ』と呼ばれている獣である。

長く続く咆哮。

一体何事だと、相棒獣に乗った獣騎士が駆け付ける。

少し遅れて、近くにあった館内にいたジェドとコーマックも、他の獣騎士らと同じくして「なんだ!?」と外へ飛び出してきた。

ジェドが、カルロの姿を目に留めて表情を強張らせた。

「お前、その姿はどうした……? そもそも何故、外にいる?」

誰もが緊張して見守る中、歩み寄るジェドとカルロが目を合わせている。

カルロはジェドを目にした直後には、もう咆哮をやめていた。

「もしや、何かあったのか?」
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