平凡な私の獣騎士団もふもふライフ
そんなに離れていない別方向からも、騒がしさが鈍く伝わってきた。もしや、先程の男達が自分達が落ちてしまった穴を見付けてしまったの……?

不意に、上から降り注いでいた日差しが遮られる。

ギクリとしたリズは、警戒心を覚えてハッと目を向けた。するとその途端、彼女は大きな赤紫色(グレープガーネット)の目を「あっ」と見開いた。

「ここか!」

こちらを覗き込み叫んでくるのは、獣騎士団長のジェドだった。彼は軍服のロングジャケットの裾を揺らし、空中に浮く大きな白獣にまたがっている。

パチリと目が合った途端、ジェドが強張っていた表情を解いた。

「ああ、良かったリズ! 今すぐ引き上げてやるからな」

「だん、ちょうさま……?」

リズは、もう色々は驚きで言葉がうまく出てこなかった。しかもジェドを騎乗させている大型級の白獣は、見間違えるはずもないあのカルロだ。

一体どうなっているんだろう? どうしてジェドとカルロが?

そう戸惑っている間にも、カルロがジェドの指示合図に従い、まるでずっとそうであったかのような見事さで、宙を駆けてリズのある穴の底まで降りてくる。

「どうして……? 一体いつの間に……?」

混乱して見つめていると、ふわりと降り立ったカルロが普段の調子で「ふんっ」と鼻を鳴らした。安堵とも、小馬鹿にしたとも取れない様子だ。

すると、その背からジェドがすぐに降りてきた。

彼はリズの前で片膝をつくと、自然と手を伸ばして指先で涙を拭う。温かさに触れられて、リズは一瞬ぴくっと反応してしまった。

< 166 / 182 >

この作品をシェア

pagetop