平凡な私の獣騎士団もふもふライフ
「どうして相棒獣がいないことが、婚約の問題点になるんですか?」

もし相棒獣がいたとしたら、彼も、他の騎士達も婚姻活動を止めなかったようにも感じた。不思議そうなリズを見て、コーマックが困ったように笑う。

「団長くらい強いクラスの獣騎士となると、相棒獣を見付けるのも相当難しいんです。もし新しい相棒獣が伴侶を嫌がれば、色々と落ち着かせるまでに時間もかかりますし」

しばらくは仕事にも差し支えてしまうだろう。

コーマックは言葉を切ったものの、リズは彼の柔らかな苦笑からそう感じた。大変なんだなぁ、と、国軍でも注目されている精鋭部隊軍を思った。

宿泊部屋は、他の騎士達の利用のない東側の一室を借りさせてもらえることになった。女性の利用がない軍人施設だ。仮眠室のようにこざっぱりしている。

「他の騎士達も、休日は自宅で寝泊まりしている者がほとんどです。別館の寮とは違う休憩部屋になりますので、本当はきちんとした住まいが町にあるのが望ましいのですが……」

「…………すみません。お給料貯めてから、どうにか考えます」

それは別館の寮も同じようなもので、リズは入社手続きをしている際にも似たようなことを答えていた。ここへ来るまでの旅賃で、貯金はほぼ全部飛んだ。

部屋を借りるとなると、保証人がないと入居料も割増しになる。

グレインベルトの町に到着した時のことを思い返して、リズはこじんまりとした部屋で、泣きそうになった顔に腕を押し当てた。
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