平凡な私の獣騎士団もふもふライフ
宿泊部屋のある別棟の建物を出てから、リズはコーマックに案内されながら幼獣舎へと向かった。本館の裏手へと回り、離れるようにして広い芝生を進む。

本館側は本当にとても敷地が広い。

サクサクと二人分の足音を聞きながら、そよぐ春風に誘われて目を向ける。そこからぐるりと見渡してみても、いくつお屋敷が走るのかとリズは考えてしまう。

「世話係りの仕事は、幼獣達の健やかな成長のために、出来る限りのお世話することです」

そんな優しげな声が聞こえてきて、リズは隣を歩くコーマックへ目を戻した。そうしたら気付いた彼が、棘のない性格を感じさせる視線を返してきた。

「そうして、もっとも大事なことは――守ってあげることです」

「守る?」

「そう、幼獣達は大人の白獣に比べると弱く、自分達の力だけでは大きくなることは出来ません。ですから彼らのパパやママになったつもりで、成長を見守り、彼らが育っていくためのお手伝いをするんです」

にこっと言われて、リズは「ああ、確かに」と思った。村で育てていた牛や、森の害獣避け用の犬達も、自分達の手で大切に育ててきたから分かった。

「一日に三回は、ミルクで柔らかくしたごはんをあげます。もっと欲しがるようであれば、調子をみながら数や量を増やして頂いても問題ありません。足りずにお腹を好かせている状況の方が問題ですから」

成長期なので、食べる時期もあれば食事量が少なくなる時期もある。毎日、交換日記のようにして成長日記を付けて、どうにか共有している状況であるらしい。

だから本来であれば、専任の担当者がいた方がいい。

けれど獣騎士達も、仕事や自分の相棒獣の世話などもあって日々多忙だ。もしリズが専任の担当者になれるのであれば、かなり望ましい状況ではあるという。

「そうなってくれたら、団員達も大賛成で喜ぶと思いますよ。その方が安心出来ますから。成長日記は世話係のリズさんの物として、部屋に持ち帰っていいですよ」

必要があれば内容を確認させてもらうことはある。毎日、日記を付けるのもお仕事です、と、コーマックは幼獣達との初対面で問題がなければの話をしていく。

でもソレ、ガブリとされなかったらの話なのでは……。
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