平凡な私の獣騎士団もふもふライフ
幼獣とはいえ、さすが戦闘獣。どの子も既に小型犬ほどの体格はあるものの、おかげで一瞬、戦闘獣の怖さがリズの頭からスコーンッと抜け落ちた。

幼獣舎越しの、予期せぬ初対面。

ちょっと拍子抜けしたコーマックが、硬直状態のリズに声を掛けた。

「えぇと、恐らくは興味があって集まっている、んだと思います……普段はこんな風ではないんですよ。大人しく集まって待っている、なんてことないですし……」

説明しながらも、彼は珍事を前にしているかのように首を捻っている。

幼獣達はじっと見上げ続けていて、目を合わせているリズは困惑した。これ、どうしたらいいの。目を離してもいいの?

「……えっと、副団長様? これは、ロックオンされているわけではない、んですよね……?」

これからこの中に入らなければならない。大事なので確認したら、コーマックが弾かれたように顔を上げ、まだ動けないでいるリズに合図した。

「大丈夫です。敵意はありません」

「本当ですか……? 思い出したんですけど、白獣って獣騎士だけにしか懐かないと言いますし、歯の先っぽが丸くてもバクンっといかれちゃったら――」

「入る前に怖いことを考えるのをやめましょうっ」

幼獣から目を離した途端、不安がみるみるうちに戻ってきてリズは目が潤んだ。慌ててコーマックは肩を掴んで正面から説得する。

「僕の相棒獣も反応していませんから、きっと大丈夫です!」

「副団長様の相棒獣って、そういえばどちらに……?」

すると、彼が一拍分の奇妙な間を置いた。

「リズさんが怯えないように、アチラに」

やがて、嘘は付けない彼は指を向けてそう答える。
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