平凡な私の獣騎士団もふもふライフ
リズだって、ここに来るまでは軍人には少し苦手意識もあった。けれど出会い頭の団長様が怖過ぎたし、それに比べて気さくなで呑気な男達は平気になった。

「俺らを全く意識していないとはいえ、髪くらいはちょっと直した方が――」

「大丈夫です。もとから私の髪は癖毛でくるっとなりますし、ちょうどボサボサになっても誤魔化せるいい長さなんで!」

「リズちゃん、それ笑顔で言っちゃいけないよ」

「うわぁ、多分これ疲れてるよ」

「どんな田舎暮らしを送っていたのか、超気になってきた」

あわわと獣騎士の一人が口に手をやった。ブタ鳥に追いかけられたり羊の群れに遭遇したり、何もないところで転んで犬を怒らせたり、色々だ。

だから髪を腰まで長く伸ばして、お洒落するなんて考えたことがない。

そうリズが思い返していると、副団長のコーマックが走ってきて調理場に顔を覗かせた。

「いや君ら仕事してくださいよ!」

本館の団長の部屋から丸見えなんですけどッ、と青い顔で叱った。同じく団長の素を知っている男達は、真顔になった後、一瞬で仕事に戻っていった。

初めてのことばかりで、バタバタしている間にまた一日、二日と目まぐるしく過ぎていった。

変わらず獣騎士達は、様子見がてら顔を出してくれた。コーマックと共にアドバイスをくれている彼らは、幼獣舎へ足を運ぶたび懐き具合を珍しがっていた。

どうやら幼獣達は、自分に懐いてくれているらしいのだ。

五日目になって、コーマックに教えられてようやくリズも実感した。
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