平凡な私の獣騎士団もふもふライフ
              ※※※



廊下を歩いていたジェドは、またしてもその姿を見付けて足を止めていた。

今度は演習場の方だ。一体何をしているのか、幼獣を抱えて一人で騒いでいた彼女が、途端に安堵した様子でぎゅっとして、部下や相棒獣達が穏やかな空気に包まれている。

初めてだらけの仕事。なのに日を追うごとに、彼女は楽しそうで。

だから最近は、毎日ジェドもその時間コーヒー休憩を取るようにしていた。今朝も執務室から、リズがタオルを抱えて走っていく姿が見えていた。

多忙でずっと動き回っていたのに、と一部の部下には不思議がられている。

少しでも休憩を挟めと言ったのはお前だろう、と、副隊長のコーマックに言い返したのは昨日だ。一昨日も――別の誰かに似た台詞を返した気がするが覚えていない。

「なんだか楽しそうですね」

じっと窓の外を眺めていたら、通りすがりトナーが声を掛けてきた。

声を掛けられた一瞬、リズのことを言っているのかと思いかけた。しかし、窓の向こうに気付いていない彼を見て、自分がそう言われているのだと察した。

「俺が、楽しそう?」

「そうですよ。団長って普段から仕事の鬼ですけど、忙しいのも楽しいみたいな感じで走り回ってるじゃないですか」
< 37 / 182 >

この作品をシェア

pagetop