平凡な私の獣騎士団もふもふライフ
「…………ふっ。コーマックは、また何かドジでも踏んだか」

ジェドは、幼馴染でもある彼が、リズや部下の前で項垂れているのを見て小さく笑った。なかなか警戒心を解かない彼が、自然体で過ごせているのは悪くない。

対するリズは、幼獣と揃って彼を励まそうとしているみたいだった。

でも逆効果だったらしい。途端に部下達が、今にも笑い出しそうな口を手で塞いだ。女性にあまり免疫のないコーマックが、ダメージを受けて顔を押さえている。

あの表情からすると、リズはまたしても必死に謝っているのか。

彼女が涙目で何やら言っている様子を、ジェドは目を収めていた。ぎゅっと抱き締められた幼獣が、すっかり安心しきってきょとんとしている。

本当に素直な娘だ。全部表情に出る。

運動神経も、ついでにいうと、どことなく運もなさそうなのだが。

それでも空回りになろうがめげない。そんな意気込みで一生懸命頑張る姿を、あの日からジェドは、気付けば目で探しては追っていた。

そう思い返してみれば、先程のトナーの言葉を認めざるを得ないだろう。

毎日、彼女関係の報告を聞くのを、楽しみにしている自分もいる。

「……例の密猟の件の会議がなければ、今日も見に行けたんだがな」

知らず、ぽつりと彼の口から呟きがこぼれる。自分が一時不在になる代わりに、残った部下達への指示などを副団長のコーマックに任せていた。

明日なら、直接様子を見に行けるのではないだろうか?

引き込んだのは自分だ。またしてもあの大きな赤紫色(グレープガーネット)の目を近くから見て、声を聞きたいだなんて――自分の気のせいだろうとジェドは思った。
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