平凡な私の獣騎士団もふもふライフ
でも受け取ったリズは、困惑と戸惑いですぐには動けなかった。

犬とは違うのに、首輪と散歩紐って……という言葉が喉まで出かかった。これ、自尊心高いっぽいこの白獣をますます怒らせるんじゃないだろうか?

そう思って恐る恐る窺ってみると、例の暴れ獣は座ったままでいた。リズが持っている物を目に留めると、そのままずいっと頭を下げてきた。

「え……? あの、少しの間、これをやってくれるの……?」

反応が意外で、おろおろと戸惑ってしまう。

すると、そばまで来たジェドが「当たり前だろう」と言った。

「どんな理由があって選んだのかは知らんが、そいつはお前を教育係にと決めた。そうして白獣は、首輪を一度はめてもらうことで契約成立と見て取る」

「契約?」

「いいからやってやれ。それをハメてやれば、白獣は約束をしてもらえたと安心する(・・・・・・・・・・・・・・)

だから嫌がることはない、とジェドがぞんざいに言ってのける。

「つまり『あなたの教育係りになりますよ』という合図になるんですよ」

横からコーマックが、安心させるように笑って補足してきた。

リズは緊張しながらも、たどたどしい手付きで首輪をセットした。白獣は大人しくしていて、パチンッと散歩紐まで繋がると、それをじぃっと見ていた。

「えっと……それじゃあ、まずはあなたの部屋に案内するね」

そう声を掛けて部屋の外へと促したら、ようやく暴れ獣は腰を上げた。引っ張る必要もなく、どしどしと足音を立てながらきちんと付いてきた。
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