平凡な私の獣騎士団もふもふライフ
「……こ、このままバサバサになったら悲しすぎる」

昨日と今日で、とくに強くなっていた思いが再び込み上げ、リズは赤紫色(グレープガーネット)の目を潤ませてそう白状した。

カルロが、なんだか面倒臭そうな顔をした。遠くからそれを観察していた獣騎士達が「えぇぇ……」「まさかの」「本気の泣きだ」とざわめく。

ここ数日で、リズは幼獣と成獣の場合ブラッシングの力加減が違うとは理解していた。昨日、感覚的にバッチリ掴めた感はあるのだ。

カルロが、どうしたもんかという表情を浮かべて、獣騎士や相棒獣達からは見えない位置に一本爪を立てた。しかし、直後に首を振って伏せの姿勢になる。

好きにすればいい。そう態度で語っている。

「ありがとうっ、頑張るから!」

ぺたんっと地面に伸びた尻尾へ向かい、リズは作業を始めた。長い優雅な白い毛並みは見事で、するすると両手の二種類のブラシが通っていく。

やがて絡まっていた奥の毛も梳かれ、見た目的にもサラサラ感が増した。

気付けば、更にボリュームが増したかのような素晴らしい尻尾に仕上がっていた。見守っていた獣騎士達が「お~!」と拍手してくる音を聞いて、リズは我に返った。

「あっ……。尻尾が仕上がった」

四日目にして、ここだけでも完璧なブラッシングが出来た。

感激して次の言葉が出てこない。大きな目を見開いて感動を噛み締めているリズを、ようやく頭を持ち上げてカルロが見やった。

「ふんっ」
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